みなさん、こんにちは!
資源育成コース3年生です。
今回の資源育成コース航海日誌では、前回紹介した「栽培漁業臨海実習棟」の設備について、さらに詳しく紹介します。
栽培漁業では、魚や甲殻類などの生き物を健康に育てるために、水質や水温、病気の予防などを適切に管理することがとても重要です。
そのため実習棟には、海水を取り入れる設備や、海水をきれいにする設備、水温や酸素を管理する設備などが設置されています。
普段は魚の方に目が向きやすいですが、魚たちの命は、こうしたさまざまな設備によって支えられています。
今回は、海から取り入れた水が水槽へ届くまでの流れに沿って、それぞれの設備の役割を紹介します。
最初に紹介するのは、実習棟で使用する海水を取り入れる「海水取水口」です。
実習棟では、能生漁港内から海水を取り入れ、魚や生物餌料の飼育・培養に利用しています。
自然の海水には、さまざまなミネラルが含まれており、海に近い環境で生き物を育てることができます。
しかし、取り入れた海水には、砂や泥、小さなごみ、微生物なども含まれています。そのため、取水した海水をそのまま水槽へ送るのではなく、砂ろ過や紫外線殺菌などの処理を行ってから使用しています。
こちらは「海水ろ過器」です。
取水した海水は、まずこの設備を通って砂ろ過されます。ろ過器の中には砂の層があり、海水がその中を通ることで、砂や泥、小さなごみなどが取り除かれます。
海水の汚れを減らして透明度を高めることで、この後に行う紫外線殺菌の効果も得やすくなります。
魚や稚魚を健康に育てるためには、まず使用する海水の状態を整えることが大切です。砂ろ過は、その最初の重要な工程です。
こちらは、処理した海水を実習棟内の各水槽へ送るポンプや配管の設備です。
ポンプを動かすことで、海から取り入れた水がろ過設備を通り、それぞれの飼育水槽へ送られます。実習棟の水の流れを支えていることから、まさに「実習棟の心臓部」といえる設備です。
水槽には新しい海水が供給され、飼育に使った水は外へ流れていきます。このように海水を掛け流すことで、水質を保ちながら魚を飼育しています。
また、水槽内にはエアレーションによって空気を送り込み、水中の酸素を保っています。魚が呼吸するためには、水の中に十分な酸素が必要です。
ポンプや空気を送る設備が停止すると、水の流れや酸素の供給に影響が出るため、日頃の点検や管理が欠かせません。
こちらは、海水を温めるためのボイラーです。
魚や餌となる生き物は、種類によって成長しやすい水温が異なります。特に、魚の仔魚に与えるシオミズツボワムシやアルテミアを培養する時には、それぞれに適した水温を保つ必要があります。
冬場は海水温が低くなるため、そのままでは生物餌料の増殖が遅くなることがあります。そこで、ボイラーで温めた水を利用し、培養に適した水温へ調整します。
水温は、生き物の成長や餌の食べ方、生存率にも関わります。見た目には分かりにくい変化だからこそ、毎日の測定と細かな調整が重要です。
こちらは、水温を調整しながら魚を飼育している水槽です。
この水槽では、冷たい海域に生息するアカムツなどを飼育しています。
アカムツは、普段は水深の深い、比較的水温の低い海に生息しています。そのため、水温が高くなりすぎると、魚にとって大きな負担になる可能性があります。
冷却設備を使って水温を一定に保つことで、アカムツが暮らす自然の環境に近づけています。
すべての魚を同じ環境で育てられるわけではありません。それぞれの魚がどのような海に生息し、どのような水温を好むのかを理解した上で、飼育環境を整えることが必要です。
こちらは「紫外線殺菌装置」です。
砂ろ過された海水は、必要に応じてこの装置を通ります。装置の中で海水に紫外線を照射することで、水中に含まれる細菌などの微生物を不活化し、魚病が発生する危険を減らします。
薬品を海水に加えずに処理できることも、この設備の特徴です。
特に、ふ化して間もない仔魚や小さな稚魚は体力が弱く、環境の変化や病気の影響を受けやすいです。そのため、飼育に使用する海水を適切に処理することは、稚魚の命を守ることにもつながります。
紫外線殺菌装置には、正常に作動しているかを確認する部分があります。
写真では、確認部が青く光っている様子を見ることができます。設備は設置して終わりではなく、毎日正常に動いているかを確認することが大切です。
異常を早く発見するためには、普段の状態を知り、小さな変化を見逃さないことが必要です。
今回紹介した設備は、魚のように泳いだり、餌を食べたりするわけではないため、普段はあまり目立ちません。
しかし、海水を取り入れ、汚れを取り除き、殺菌し、水温や酸素を整えて水槽へ送るという一つひとつの工程が、魚たちの命を支えています。
栽培漁業では、魚に餌を与えることだけが飼育ではありません。魚が健康に育つ水をつくり、その環境を毎日維持することも、大切な飼育技術です。
実習を通して設備の役割を知ることで、普段何気なく見ていた配管や機械にも、それぞれ大切な意味があることが分かりました。
これからも魚だけでなく、魚を支える水や設備にも目を向け、将来の水産業に役立つ知識と技術を身につけていきたいです。
次回の航海日誌もぜひご覧ください!
